イノコズチ (10月25日)

 今の時期、ストッキングを穿いたご婦人はうっかり草むらに入れません。
イノコズチやヌスビトハギの実がくっついて、たちまちストッキングがほつれ てしまうからです。
もっともいまのストッキングは「伝染」が起こらない織り かたになっているようですが、それでも穴が明いてしまいます。

 日向を好むヒナタイノコズチ:Achyranthes fauriei という種類もあり、この方 がー全体に大柄で、花の(従って実の)数も多く、草地に見られるのはこの種類 の方が多いかも知れません。

 子どものころ原っぱで遊んで靴下やズボン・スカートにたくさんくっつけて来て 叱られた記憶はありませんか?


イノコズチ【猪子槌】
Achyranthes japonica ヒユ科イノコズチ属


本州から九州にかけての林の中などに生える多年草。
日のあまり当たらないとこ ろを好むので、ヒカゲノイノコズチという別名もあります。

茎は断面が四角で節の部分が膨らんでおり、高さ50〜100cm になります。
節ごと に対生する葉は薄く、長さ 5〜15cm の長楕円形で先が尖っています。

夏の終わりから秋にかけて葉腋から細長い花柄を伸ばし、緑色の小さな五弁花を 細い穂状につけます。

花は横向きに咲きますが、実になると下を向き、鉤のように尖った苞の先で衣服 や動物の毛に付着して伝播されます。

乾燥した根は牛膝(ゴシツ)という漢方薬で、利尿・強精剤として使われます。
昔は堕胎薬としても使われたという話です。

Topページへ戻る