ヨモギ (10月13日)

モチクサの名で春の摘み草の主役になるヨモギ、いまが花どきです。
 若芽は草餅に搗いて食べ、少し大きくなると薬湯にし、成長した葉の裏毛を集め てお灸の「もぐさ」を作るなど、利用価値の高い野草です。

 地球上に植物が誕生したときは全部風媒花であったとされています。
その後進化し て虫媒花が現れたのですが、マツ・イチョウ・ソテツなど、進化が遅れていると考 えられる裸子植物群は未だに風媒花なのです。
このことからすると、最も進化の進 んだ植物群に含まれるキク科の中に、先祖戻りのような風媒花があるのは興味深い ことですね。
 花弁・匂い・蜜などを備える虫媒花はコストが嵩むので、シンプルで 効率のよい風媒花に戻してコストダウンを図っているのでしょうか(^_^)。

 現在は回虫などの人体寄生虫が少なくなったので出番がありませんが、「サントニ
ン」という有名な駆虫薬があったのをご存じの方もおられるでしょう。
あのサントニンも同じヨモギ属の、シナヨモギ、ミブヨモギ、クラムヨモギなどか
ら作られたものです。


ヨモギ[蓬]
Artemisia princeps キク科ヨモギ属



本州から沖縄にかけての山野や路傍に普通に見られる多年草で、地下茎を伸ばして よく増えます。

茎はよく枝わかれして高さ50〜100cm になります。

葉は互生して羽状に深い切れ込みがあり、長さ 6〜10cm 。
葉の裏側は綿毛が密生していて白くみえますが、若芽を茹でて餅を搗くときに混ぜ ると、この綿毛が「つなぎ」の役をしてよく餅と混ざるのだそうです。
成長した葉の裏毛は上記のとおり、お灸のもぐさの原料になります。

秋、 9〜10月に直径1.5mm ほどの小さい頭花が下向きに多数つきますが、同じキク 科でも栽培種の菊や、野菊と総称される野草のキク類と違って花は極めて地味、匂 いもありません。
ヨモギは風媒花なんですね。

Topページへ戻る