「フクジュソウ」 (1月1日)


皆さま、明けましておめでとうございます。

お正月を飾る花と言えば「元日草」の別名をもつフクジュソウですが、この元日 は旧暦の元日をいったもので、本来この花は2〜3月ごろが自然の開花期です。

“福寿草兄貴のそばに居候”という江戸川柳がありますが、この“兄貴”は梅の ことを指し、梅の盆栽仕立てに福寿草を寄せ植えしてあるのをよく見掛けますね。
梅とほぼ同時に開花するのです。

明治維新後、新暦の正月に飾るために早生種の「福寿海」という品種に人気が集 まり、いまでは鉢植えの福寿草は「福寿海」または近縁種の「福禄樹」が使われ ていることが多いようです。

青梅の梅林には福寿草がたくさん植えられていますが、やはり満開になるのは梅 の花と同時です。

学名のアドニスはギリシア神話に出てくる王子の名で、アドニスは女神アフロデ ィテに愛され、後に猪に襲われて死ぬのですが、そのとき流した血のなかから生 まれた赤い花にアドニスの名がつけられたのだそうです。

赤いのは一年生のフクジュソウで、早春に咲く黄色いのは多年生の種類です。

アドニスが余りに美貌だったために、天はその死を悼んで年に2度咲く花に変え たのだという、うがった言い伝えもあるようです。


フクジュソウ【福寿草】
Adonis amurensis キンポウゲ科フクジュソウ属

福島県会津坂下町(1998年3月) Photo by K.Kasuga

アジア北部に分布する多年草で、日本では関東以北の落葉樹林の下などに自 生するほか鑑賞用に栽培され、園芸品種が多い。

早春に葉に先立って芽を出し、直径 3cm ほどの黄色い花を咲かせる。

後に 出る葉は羽状複葉で互生し、羽状に深裂。

ほかに 4〜 5月に咲くヨウシュフクジュソウ:Adonis vernalis や、赤色の 花を咲かせる一年生のナツザキフクジュソウ:Adonis aestivalis、同じく 赤色花の咲く一年生のアキザキフクジュソウ:Adonis annua などがある。

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