「ナズナ」 (2月1日)


ペンペン草の名で親しまれているナズナです。
春の七草のうちでは最も早く花が咲くのですが、もう畑の隅のオオイヌノフグリに 混ざって、小さな白い花を咲かせています。

新暦の1月7日、七草にはまだ七種類が揃わず、ナズナ、スズナ(蕪)、スジシロ (大根)だけで済ましてしまうのが通例みたいになってますが、旧暦の七草はいま の2月ですから、ナズナは勿論セリそのほかも摘めるくらいになっているのですね。

七草の材料にするだけでなく、冬から芽吹くナズナは緑野菜として昔から重宝され ていたようです。
家が落ちぶれることを“屋根にペンペン草が生える”と言います が、それほど何処にでも生える草です。

ペンペン草の名はその平たい三角形の果実の形を三味線の撥(バチ)にみたてたもの ですが、よく特徴が表されていますね。

属名の Capsella はカプセルで、小箱・小袋・財布などの意味ですが、長い学名の Capsella bursa-pastoris を直訳すると“羊飼いのポケットの中の財布”となり、 貧しい羊飼いの財布はぺちゃんこだろうと推測しての命名だろうとのこと。

見る民族によって、三味線の撥になったり羊飼いの財布になったり、どちらも詩情 があって面白い名です。


ナズナ【薺】
Capsella bursa-pastoris アブラナ科ナズナ属

福島県会津坂下町(1998年3月) Photo by K.Kasuga

日本全国の道端や畑、空き地などにごく普通にみられる 2年草。

高さ10〜40cm になり、根元の葉は羽状に深く切れ込んでいるが、茎の上部の葉には切れ込み が少ない。

早春に咲く花は白色の小さい十字花で直径 3〜 4mm 。

茎の下部から 順々に咲き上がっていく。

種子は柄のある逆三角形で長さ 6〜 7mm 、底辺にあ たる部分が凹んでいる。

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