「キブシ」 (3月15日)


日当たりのよい斜面や雑木林の縁に、キブシの花がみられます。

いまはそんな遊びをする子も少なくなったでしょうが、昔はキブシの花が垂れる と、女の子はみな簪をまねて髪を飾ったものです。

黄色い花穂が藤に似ているせいか、花屋さんではキフジ(黄藤)という名で呼ぶ こともあるようですが、キブシの名の由来は、この木の果実を乾燥して粉末にし たものが五倍子(フシ:ヌルデの葉の軸にできる虫瘤。タンニン剤として薬用や染 色用に用い、また婦人が歯を黒く染めるのに用いた)の代用になるところから、 木五倍子→キブシと呼ばれたものと言われています。

またキブシの枝には太い髄が通っていて、この髄を乾燥して行灯(アンドン)の灯芯 に用いたそうです。


キブシ【木五倍子】
Stachyurus praecox キブシ科キブシ属

神奈川県・城ヶ崎海岸(1999年3月) Photo by O.Kajimoto

山野に普通に生える落葉低木で、高さ 3〜 5m 。

互生する葉は長さ 7〜10cm の楕円形または卵形で、先は尖り縁には鋭く細かな鋸歯がある。

早春、葉の出る前に長さ 4〜10cm の花穂が多数垂れ下がる。雌雄異株で、雄 花は黄色が濃く、8本の雄しべがよく目立ち、雌花はやや小さく緑色を帯びて いる。

花穂の長いハチジョウキブシという変種がある。

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