「ナ シ」 (4月17日)


房総半島の太平洋岸、九十九里浜の南端に近いところに、上総一宮という町があ ります。
この付近は梨の産地で、久し振りに列車にで通ったら梨の花盛りでした。

「日本書紀」や「万葉集」に梨が出てくるところをみると、古代から食用に栽培 されていたらいしいことが想像できますが、食べても何も滓が残らないから「無 し」という名がついたとか、ちょっとこじつけみたいなことも言われています。

梨栽培農家の人の話によりますと、害虫駆除の農薬散布のためか、花粉の運搬を してくれる筈のハチ類なども減ってしまい、結実の歩留りが悪いそうです。
梨畑 全体を網で覆って蜜蜂を放すなどの試みも行われているそうですが、一方ホルモ ン剤などの薬物による無性生殖の方法も導入されているようで、あまり気持ちの いいもんじゃありませんね。

梨は「無し」に通じるので忌み言葉とし、わざわざ「有の実」と言い換えるなら わしもあります。


ナ シ 【梨】
Pyrus serotina  バラ科ナシ属

千葉県一宮町で(1995年 4月)Photo by K.Iozawa


山中に自生するヤマナシ:Pyrus pyriforia が改良され、果樹として栽培さ れるようになった落葉低木。

枝は黒紫色、葉は互生して卵円形、先は尖り、 縁には細かい鋸歯がある。
枝の先に5〜10個の白色5弁花がつき、直径3 〜4cm で花弁には皺が多い。
雄しべは20本ぐらいで、先端の葯が紫色を 帯びている。

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