「フジ(ノダフジ)」 (5月4日)


藤の花の季節ですね。

フジは日本特産の植物で、地名・人名・紋所・絵画・彫刻など、古くから日本文 化に深く関わっている植物です。
最近の書物では単にフジではなく、ノダフジ (野田藤)の呼称を使うことが多くなってきました。
野田は大阪の地名で、昔は フジの名所であったのだそうです。

フジの名所はあちこちにありますが、岩手県藤島のフジ、宮城県滝前不動のフジ、 埼玉県牛島のフジ、静岡県熊野の長フジ、福岡県黒木のフジ、山梨県山ノ神のフ ジは国の天然記念物に指定されています。
なかでも牛島のフジは特別天然記念物 になっています。
牛島には何度か行きましたが、素晴らしいものですね。

東京では亀戸天神のフジが有名です。
池の上に作られた藤棚からは水面に届くほ どの長い穂が幾つも垂れて見事な眺めです。

フジの蔓は右巻き(上からみて時計方向回り)ですが、山地に自生するヤマフジ は蔓が左巻き(上からみて反時計回り)で、フジ(ノダフジ)とは別種です。

ヤマフジのことを園芸名でカピタンと呼び習わしていますが、白花のフジはヤマ フジの改良種であるといわれ、園芸名ではシロカピタンと呼ばれています。


フジ【藤】(ノダフジ【野田藤】)
Wisteria lforibunda マメ科フジ属

東京都清澄公園で(1985年 5月)Photo by K.Iozawa

本州・四国・九州の山野に自生し、あるいは鑑賞用として庭や公園、神社や 寺の境内などに植えられている蔓性落葉低木。

幹は長く延びて分岐し、右巻 きに他物に巻きつく。
葉は互生する奇数羽状複葉で、小葉は4〜6対。

多数の紫色の蝶形花が房状に垂れ下がり、長さ30〜90cmぐらいになる。

1個の花の大きさは10〜20mm で、花が終わると長くて頗る堅い莢ができ、 中に円形で偏平の種子が2〜3個入っている。

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