「ボタン」 (5月8日)


“立てば芍薬座れば牡丹”などと美人の形容にはよく牡丹が使われますが、その 他にも牡丹刷毛、牡丹桜、牡丹雪など、ふっくらした形を表す詞として名詞の前 につけられます。
中国では花の中で最も美しいもとのして「花王」とも呼ばれて いるそうです。

ボタンの渡来は古く奈良時代と言われています。
もともと薬草として栽培されて いたものですが、花の美しさから鑑賞用としての価値が高まり、園芸植物として の改良が進んで、江戸時代の元禄・宝永の頃には大流行をもたらしたということ です。
昭和初期にも流行して、その当時は園芸品種が200種もあったそうです が、今は少し下火になって、20〜30種類ぐらいになっています。

牡丹の名所と言えば奈良の長谷寺や福島県の須賀川牡丹園ですが、東京にも名所 はいくつかあり、足立区の西新井大師、新宿区下落合の薬王院、上野公園の東照 宮などが有名です。

なおボタンは以前キンポウゲ科に属していたので、図鑑等によってはキンポウゲ 科に分類してあるものもありますが、現在はボタン科として独立しています。


ボタン【牡丹】
Paeonia suffruticosa ボタン科ボタン属

東京都西新井大師で(1985年 5月)Photo by K.Iozawa

中国原産の落葉低木で、鑑賞用に栽培される。

幹はよく分岐し、古いもので は高さ3m ぐらいになるものもある。
葉は2回3出複葉で、小葉は先端が3 〜5裂しているのが普通。

特有の臭気があり、5〜6月に直径10〜20cmの 大きな花を枝先に開く。
萼は5枚でそり返り、花弁は品種によって8枚ぐら いのものから多弁のものまでさまざまである。

色の変化も多く、ピンク、紅、 紫、白など。

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