「ウツギ」 (5月14日)


“卯の花の匂う垣根に…”という唱歌を懐かしむ方もいらっしゃるでしょうが、 そろそろ卯の花の季節ですね。

標準和名はウツギで、枝が中空であるところから空木(ウツギ)と呼ばれるのです が、別名の卯の花の方が馴染み深い名です。

ウノハナはウツギの花が詰まったもの、あるいは卯月(旧暦の6月)に咲くから と言われていますが、「卯の花」は「白」を表現する詞として使われることがあ ります。
白い糸でつづった鎧のことを「卯の花縅(ウノハナオドシ)の鎧」と言います し、豆腐滓(おから)のことを「卯の花」とも言います。

また梅雨のさきがけてのうっとうしい曇り空を「卯の花曇り」、更にしとしと降 り続く五月雨を指して「卯の花腐し(ウノハナクタシ)」などという表現も使われました。

長雨でせっかく咲いた卯の花が腐ってしまうという意味なんでしょうね。
こういう味わいのある言葉がだんだん失われていくのは悲しいことです。


ウツギ【空木】
Deutzia crenata ユキノシタ科ウツギ属

千葉県大原町で 1989年 5月 Photo by K.Iozawa

北海道から九州までの各地の山野に生える落葉低木。

生垣や庭木としても植え られている。
根元からよく枝分かれし、高さ2〜3m になる。

樹皮が短冊状に 剥がれるのが特徴。葉は対生し、短い柄があって縁には浅い鋸歯がある。
裏面 には毛が多く、触るとざらつく。

晩春から初夏にかけて枝先に白い花を円錐状 につける。
萼、花弁ともに5枚で花の直径は1.5〜2cm。10本の雄しべが よく目立つ。
果実は直径5mm ほどの球形で、熟すと3〜4つに割れる。

昨日 戻る 明日