「キ リ」 (5月16日)


昔は女の子が生まれると親は桐の木を植え、その娘の嫁入りに備えたと言います。
桐の箪笥もあまり見かけなくなりましたが、総桐の箪笥は昔でも高級品のイメー ジが強かったようです。
見えないところは他の木を使った三方桐などというのも あって、いつの世にも見栄っぱりはいたんですね。
その他桐の箱や桐の下駄など は高級品とされてきました。

桐の葉をモチーフにした紋所は菊と並んで皇室の紋所に使われていますが、五三 の桐、五七の桐、唐桐などのバリエーションがあります。

琴のことを「桐」と言ったり(桐で作るから)、小判のことも「桐」と言ったり (桐の紋を打ってあるから)、源氏物語の「桐壺」からパソコンソフトの「桐」 まで「桐」の文字を使った語や物の名は数多くあります。
それだけ生活に密接な 関係がある植物とも言えるのでしょう。

いま、桐の花の季節です。


キリ【桐】
Paulownia tomentosa ゴマノハグサ科キリ属

群馬県上野村で 1987年 5月 Photo by K.Iozawa

中国原産といわれている落葉高木で高さ8〜15m になる。

材が良質で軽い ので、高級家具材として栽培される。
対生する葉は長さ10〜30cmの 広卵形で、粘り気のある毛が密生している。

5月ごろ枝先に淡紫色の花を円 錐状につける。
花冠は吊り鐘形で先が5裂し、やや肉厚。

キリはしばしばノウゼンカヅラ科に分類されていることもある。

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