「スイレン・(1)」 (6月26日)


家から10km ほどのところに、トンボの沼と呼ばれている大きな沼があります。
県の自然保護地区になっていて、珍しいトンボが見られたり、オオヨシキリやカ ワセミなどの野鳥観察ができたりするところなんですが、夏になるとその沼の水 面のほぼ半分がスイレンの葉で覆われ、これから白と黄色のスイレンが咲き競っ て見事な眺めになります。

スイレン属の植物は世界に約40種ありますがその殆どが熱帯性で、温帯性(耐 寒性)のスイレンはわずか4〜5種に過ぎません。
そのうち日本に自生するのは ヒツジグサというす水草1種だけで、日本で普通に見られる美しい花を咲かせる スイレンはみな栽培種です。

熱帯性のスイレンは葉が大きくて縁に鋸歯があり、花は水面上に突き出して咲き ますが、温帯性(耐寒性)のスイレンは反対に葉が小さくて鋸歯がなく、花は水 面に浮かぶように咲きます。
また、熱帯性には昼咲きと夜咲きがありますが、温 帯性には夜咲きはありません。

スイレンの漢字表記には睡蓮を当てますが、これは本来ヒツジグサの漢名です。
ヒツジグサは未(ヒツジ)の刻(今の午後2時)前後に開くところからこの名がつ いたものです。


スイレン【睡蓮】
Nymphaea hybrida スイレン科スイレン属

千葉県大原町で(1989年 6月)Photo by K.Iozawa

温帯性のものはヨーロッパ、北アメリカに分布し、熱帯性のものはエジプト を中心にギリシア、イタリア、イラン、インドにまたがって分布している。

温帯性、熱帯性それぞれに品種改良が進み、各国で多数の品種が栽培されて いる。

現在日本で栽培されている温帯性スイレンは約50種ほどあり、色は 赤・桃色・白・黄色のほか、ぼかしや複色など多彩。
しかし、温帯性スイレ ンには、青・紫がみられない。

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