「ワルナスビ」 (7月27日)


通りがかりに近くの荒れ地で帰化植物のワルナスビを見つけました。

帰化植物が最初に浸入してくる原点は大体決まった地点で、港湾施設や鉄道沿線 はよく知られていますが、大きな牧場の近辺も帰化植物の発生源になっています。
大規模牧場では当初牧草の種を外国から輸入するケースが多く、その牧草の種に 野草の種が混入して来たからなんですね。

千葉県では成田市三里塚に明治8年に政府直営の牧場が開設され、日本で初めて 外国種の馬・牛・羊などの飼育と外国種牧草の栽培が始まりました。
その後宮内庁(当時は省)御料牧場となり、空港建設のために閉鎖されるまで、 100年近くも家畜の飼育と牧草の栽培が続きました。
このため三里塚周辺で帰 化植物が発見された記録がとても多いのです。

ワルナスビも三里塚で発見された帰化植物で、その旺盛な繁殖力をもってどんど ん畑に浸入し、手に負えない雑草として目の敵にされました。
近頃ではすっかり 影をひそめてむしろ珍しい存在になりましたが、ワルナスビとはよくよく農民に 嫌われた存在であったことを表した名だと思います。

英名は Ball nettle 。


ワルナスビ【悪茄子】
Solanum carolinense ナス科ナス属

千葉県大原町で(1995年 7月)Photo by K.Iozawa

北アメリカ原産の多年草。

昭和初期に千葉県で発見され、帰化植物として扱 われている。
茎に鋭い刺があり、よく枝分かれして高さ30〜50cm になる。 地中に白色の地下茎を伸ばして繁殖する。

葉は互生し、長さ10〜15cm の 長楕円形で不規則な切れ込みがある。

夏、枝先に直径2cm ぐらいの淡紫色ま たは白色の花を6〜10個つける。
花冠は平に開き、浅く5裂する。

果実は 直径1.5cm ほどの球形で黄色く熟す。

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