「ワタ」 (10月5日)


大多喜町の薬草園にワタの花がたくさん咲いていました。

日本における綿栽培の歴史をみると、延暦18年(799年)に三河の国に漂着 したインド人が綿布と共にワタの種子をもたらして栽培を始めたものの失敗、そ の後16世紀はじめに再度渡来した種子で三河地方に始まった栽培が成功して1 6世紀末には各地に拡がったようです。
それまでは日本の衣服は富裕階級では絹、 庶民階級では麻が主体でしたが、綿の栽培から綿布が普及し、一方で盛んになっ た藍染と合体して紺木綿全盛の時代となって、衣生活における文化革命であった とまで言われています。

しかし戦国時代から近代にいたるまで、綿の需要がいつも軍需的要求に支えられ て拡大してきたのは皮肉なことであり、今や日本における綿花栽培は殆どその姿 を消しました。

ワタには数種類ありますが、日本で栽培されていたものはキダチワタ(インドワ タ)といわれる種類が多かったようです。


キダチワタ【木立綿】
Gossypium arboreum (G.indica) アオイ科ワタ属

千葉県大多喜町で(1996年 9月)Photo by K.Iozawa

東アジア原産の1年草。

全体に短い毛があり、茎は高さ60cm ぐらいに直立 してまばらに枝分かれする。

葉は互生して長い葉柄があり、葉身は掌状に3 〜5裂し、裂片の先は尖っている。

秋に葉柄から花柄を出し、直径4cm 内外 の5弁花を開く。
花の色は淡黄色で基部は暗赤色。果実は熟すと3裂し、中 から白い綿毛をもった種子を出す。

果実が裂開して綿毛がひろがった状態を 綿花という。

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