「ハマナタマメ」 (11月19日)


戦前はよくナタマメ【鉈豆】が食膳に供されたものですが、近頃ではトンと見掛 けなくなりました。
大きな莢で、パリパリとした歯触りがなかなかいけるものだ ったと思います。それと福神漬けには必ずナタマメの莢の薄切りが入っていたも のですが、これも最近では目にしませんね。

ナタマメは熱帯の産で、日本でも昔から栽培されていたものですが、このナタマ メの仲間に海浜植物のハマナタマメがあります。

日本でも九州南部や沖縄では見られるようですが、ジャワ島の海岸では至る所に 群生しています。
牧野図鑑には淡紅紫色の花が咲くと書いてありますが、本場も のはトロピカル風に濃紅紫色で、すごく目立ちます。

ジャカルタから西に100キロ程行くと、アニエルという海岸があります。ここ に港湾施設のプロジェクトがあったのでよく通いました。
砂浜を埋め尽くしたハ マナタマメの群落の中に腰を降ろして、遠く霞むスマトラの山々を眺めました。
ここからスマトラへ渡るフェリーがあったので、スマトラ縦断のドライブを夢み ていたのですが、これはとうとう果たせませんでした。


ハマナタマメ【浜鉈豆】
Canavalia maritima (C.lineata)マメ科ナタマメ属

インドネシア、アニエル海岸で(1976年 6月)Photo by K.Iozawa

海岸の砂地に繁茂する蔓性の草本。

葉は互生し、長い葉柄を持つ3出複葉。
小葉は長さ5〜6cm の卵形で硬く、表面に光沢がある。葉腋から花柄を出し、 長さ25mm 〜30mm の大型蝶形花を多数つける。

豆の莢も大きく、長さ6 〜10cm の楕円形でやや平たく、3〜6個の種子が入っている。

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