「オオトゲミモザ」 (12月6日)


オジギソウ(ネムリソウ)のミモザに似ていますが、名に示す如く枝に刺が多く、 やたらに葉が繁って全体に荒々しい姿です。
葉に触れてもおじぎはしません。

私が赴任した1972年ごろはDC−8あたりが最も大型の飛行機でしたが、ジャカ ルタ国際空港はクマヨランという海辺の町にあって、海面すれすれに降りて白い 砂浜を越えるとすぐ着地という進入経路を辿るのが普通でした。
風向きによって は密集住宅街の赤い瓦屋根をかすめます。

その後大型ジェット機の就航に伴って内陸部の広大なハリム空軍基地に移り、国 際線が空軍と空港を共有していました。
帰国のときはそのハリム空港から、皆に 送られてジャンボ機で発ったのですが、今では別な場所に独立した立派なジャカ ルタ国際空港ができています。

そのハリム空港の周辺は手つかずの荒れ地で野生植物の宝庫でしたが、そこで撮 った写真はいまだに同定できないものばかりです(^_^;)。

このオオトゲミモザを撮ったのもそのハリム空港周辺でしたが、しゃがんで撮影 していたらパトロールの兵士が通りかかり、「インドネシア語話せる? 日本人? 名前は? 会社は?」と矢継ぎ早に質問されました。
「ここは撮影禁止地区なん だが…」と言われて合点がいったのですが、そんな地域でカメラを振り回してい るのはまずかったんですね。
フィルム没収かと覚悟しながら「野生植物に興味が あって…」と説明したら、「空港の施設を画面に入れないように」という注意だ けで見逃してくれました。
その後このあたりへ来るとまずパトロールのジープが いないかどうか見回すようになったのです。そんな思い出のある花。


オオトゲミモザ【大刺ミモザ】
Mimosa invisa マメ科ミモザ属

インドネシア、ジャカルタ市郊外で(1975年 3月)Photo by K.Iozawa

ブラジル原産の草本でマレーシアやインドネシアに多く見られる。

枝には逆 向きの刺が密生している。

葉は2回羽状複葉で羽片は6〜12対。
長さ1cm ほどの細い小葉が50対以上密生していてよく繁茂する。

葉腋から花茎を伸ばしてピンクの球形の頭花をつける。
球を形づくるのは雄 しべで葯は白く、球の中心部はやや黄色い。

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